野球肩

野球肩

野球肩は腱板損傷やインピンジメント症候群、上腕二頭筋長頭腱炎など投球動作によって肩関節を痛めてしまった症状の総称で15~16才くらいの中高生に多く見られます。 他にもバレーボールやバスケ、槍投げやテニスなど、投球するスポーツ全般に見られます。

なぜ投球障害が起こるか?

一番の原因はオーバーユース(使いすぎ)です。 またコンディショニング不足による、筋肉の柔軟性の低下、投球フォームの問題などが考えられます。

野球肩



1、ワインドアップ期~軸足の膝は伸びているか?

2、コッキング期~足と膝はまっすぐ向いているか?

3、加速期~ストライドの幅は適切か?(身長x0.85)

4、リリース期~グラブの引き寄せは十分か?外旋位は保持出来ているか?

5、フォロースルー期~投げた手は内旋しているか?

通常野球肩はコックされた位置から加速期が始まり球のリリース、フォロースルー期と続き この加速期の時が一番症状が多くみられます。 コックアップや加速期では肩の前方の痛みが リリースやフォロースルー期では後方の障害が現れます。

治療

野球肩の治療は先ず投球の中止であり、急性期では炎症部位のアイシング、症状が落ち着くとリハビリになります。 野球肩では安静のみではなく、積極的なリハビリでの保存療法が最適です。

リハビリを行う場合、先ずは肩関節の可動域の評価と筋肉の柔軟性の向上を行います。 表在筋群(アウターマッスル)に異常のある場合は、電気治療や温熱療法、マッサージで治療します。 深部筋群(インナーマッスル)に炎症のある場合は 上記の治療に加え、静的動作訓練(アイソメトリック)を行います。

トレーニング

(アイソメトニックとは?)

~ アイソメトリックとは、等尺性運動のことで筋肉の長さを変えないで筋力を発揮することをいいます。

たとえば、壁や柱などのように動かないものを全力で押す バスタオルなどのように伸び縮みしないものを引っ張ることで筋力トレーニングを行なうというものです。

上腕二頭筋のアイソメトニック

1.手のひらを上にして肘を曲げ、手首に反対の手を置きます。

2.手首を胸に引き付けるように上腕二頭筋に力を加えると同時に、手首に置いた反対の手を、抵抗するよう下方に力を加えます。

この状態を5秒ほど維持し、3回を1セットで行います。

上腕二頭筋のトレーニング

また下半身の筋肉の柔軟性を高めることも、正しい投球フォームに必要です。 痛めた筋肉の状態によりますが、リハビリ開始後より約1ヵ月後で投球開始します。 いきなり全力投球ではなく、段階的に距離を伸ばしていく方法で行います。

しかしリハビリをして半年以上経過しても症状が改善しない場合、手術の適応の可能性も出てきます。 投球時の痛みが出たら、投球を中止して受診しましょう。

予防法

野球肩のアイシング

予防法として投球前の肩のウォーミングアップ、各方向へのストレッチングなどを行い、投球後はしばらく自然に肩を冷やした後、アイシングを約15分間行い、早期に局所の炎症を抑えることが予防となります。

また過緊張を起こしている筋肉に対して、緊張をとる目的で鍼灸治療を行うことにより筋緊張の不均等を整えます。

SLAP損傷

SLAP損傷とは、肩関節のスポーツ障害の1つです。 肩関節は上腕骨と肩甲骨からなる関節ですが、上腕骨頭にくらべて肩甲骨関節窩は小さく浅いためそれを補うためのリング状の軟骨が関節窩の周囲に存在します。この軟骨は骨頭が脱臼するのを防ぐ、車止めの役割を持っていると言われています これが関節唇という軟骨ですが、この軟骨を投球動作や過剰なトレーニング等で痛めてしまったものをSLAP損傷といい、投球時にふりかぶった状態から、投げる寸前までの間で肩の前方に痛みがあるとSLAP損傷の疑いが出てきます。 (左の図は肩関節の断面図、中央のリング状の物が関節唇) SLAP損傷の診断にはレントゲンよりも、MRIや内視鏡など精密検査が必要となります。

SLAP損傷



症状がすすむと痛みやしびれがひどくなり寝返りもうてなくなり夜も眠れなくなります。 多くは、右足か左足のどちらかの症状がひどく感じます。

また、太ももの後ろの筋肉が低下していく場合もあります。 そのまま放置しておくと半年から数年も痛みやしびれが続くこともあります。

また、首の動きや可動域が悪くなったり後ろに向けないといった例もあります。 朝に症状がつらくなるタイプや夕方以降につらくなるケースもあります。

事故の衝撃の強さや方向によって痛める症状も変わります。軽いと思った症状でも、放置しておくと後になって後遺症がでることがありますので早期に受診されることが大切です。

分類

SLAP損傷の分類

タイプ1|上方関節唇辺縁のすれ切りのみ

タイプ2|上方関節唇と二頭筋長頭が関節唇から剥離し二頭筋付着部が不安定になっているもの

タイプ3|上方関節唇がバケツ柄状に損傷し関節内に転位している。関節唇と二頭筋腱付着部辺縁は残っている

タイプ4|バケツ柄状の損傷が二頭筋腱にまで及ぶもの

治療

治療は肩関節の安定を図るインナーマッスルトレーニングや 肩周囲や肩甲骨の周辺の筋肉、体幹の可動域の向上などが必要となってきます。 通常では3ヶ月ほどで治癒が見込め、軽度のもので適切な診断、治療を受けてれば 2~3週間でスポーツに復帰できますが、重症の場合は手術が必要となってきます。 単なる筋肉痛の痛みと区別する必要があるのですが、投球後に肩の痛みが出始めて、数日経っても痛みが取れない場合は早めに受診してください。

治療の流れ

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